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最近でも年59スパイラル的な円安・株安の構造とゆくえくるドル売りを上回るドル買い(円売り)が資本の面から生じ、これが円安をもたらしている。 そしてこの資本による円売りは、ある意味では日本株の売りと共通するものがある。
その接点は帥年以降の資産デフレに端を発するバランス・シートの大きな歪みにある。 このバランス・シート問題にも大別すると二つの要素がある。
一つはバランス・シートの調整が経済にデフレ圧力となり、景気の悪化、金融政策での超低金利政策を余儀なくし、より高い運用利回りを求めて海外への投資を促している。 これが株の下落とともに、資本の流出、円安をもたらしている。
この点についてはもう少し説明しよう。 90年以降、日本では近年にない大規模な資産デフレに見舞われた。
その前のバブルが大規模だったからと言ってしまえばそれまでだが、この下げは半端ではない。 経済企画庁の国民経済計算によれば、日本の株資産は開年末の900兆円弱をピークに、その後急落。

一時は500兆円以上も目減りしたが、その後も目立った回復が見られない。 同様に不動産も1年遅れて下がりはじめ、これまでに700兆円もう一つの要素は、バランス・シートの歪みを直接的に被る金融機関が、長年にわたってその穴埋め(つまり不良債権の処理)をしてきた結果、それまで貯えてきた利益、体力をかなり消耗し、ついには経営破綻に陥るところが出るに及んだ。
このため、日本の金融機関が海外で資金調達をする際に、欧米の金融機関よりも高い金利を払わねばならない、いわゆるジャパン・プレミアムが発生し、海外での資金調達に支障が出るようになった。 そこで国内の円で資金調達し、これを外貨に換えて海外に回す動きが発生。
昨年度は秋以降を中心に、約10兆円の短期の貸付けという形の海外投資が出て、円安の一因となった。 金融不安発生の折りには、日本の株も当然のことながら売られることになった。
さらに、インドネシアをはじめとするアジアの経済、いつまでも良くならない景気や円安を嫌気して日本株を売りはじめる。 だから円安と株安が同時に発生する。
ジャパン・プレミアムとアジア経済危機率で9〜10兆円程度の「余剰貯蓄」が発生している。 これを別の面からみれば、せっかく産み出した所得が「余剰貯蓄」の分だけ消費や投資に回らないわけだから、それだけ恒常的に需要不足になる。
そうなると「日本株式会社」の負債は、その資産に対してだけでなく、毎期の稼ぎにあたる収益やGDPに対しても過大になる。 この需要不足を穴埋めできるのは政府だけで、つまり財政赤字のもとに需要を追加し続ける必要があるのだ。
ところが一昨年あたりから政府はもう財政赤字を増やすわけにはいかないとして、財政構造改革を打ち出した。 だから需要不足がそのまま生産や売上げの縮小、景気の悪化になってしまい、その分金融政策が空前絶後の超低金利を余儀なくされている。
金利を下げたからといって恒常的な需要不足を前にすれば投資が増えるはずもなく、景気は浮上しない。 だから株は下がり続ける。
しかも、低金利で国内に十分な投資チャンスがないから、機関投資家や最近では個人までもが海外投資を増やし、これが円安要因になる。 これまで日本株を積極的に買っていた外人投資家も、さすがに経済危機が日本の株安や円安をもたらすようになっているが、これも元を正せば日本の資産デフレに伴う景気の悪化や円安が、直接間接にアジアの危機に結びついている。

アジア各国では海外からの積極的な資本流入で供給力が高まってきた折りに、円安でアジア諸国の競争力が低下し、さらに一大需要基地である日本が不景気になって日本向けの輸出が伸ばせなくなった。 この経済環境の悪化をいち早く察知した資本が、いっせいにおカネをアジアから引き上げることになったものだから、タイやインドネシアばかりか、韓国や広くアジア全般の通貨や株価が大幅に下落し、経済が危機に瀕した。
アジアと密接に関わる日本経済には当然大きな負担となるから、これが日本売りに拍車をかけ、株や円がまた売られる、という悪循環の図式だ。 さらにまた、こうして日本やアジアを飛び出した資本が米国や欧州に流入し、そこでの株や債券相場があたかもバブルのごとく熱狂し、明暗のコントラストが大きくなるからますます資本がアジアから欧米に流れる動きを加速させる。
日本の資産デフレに端を発したバランス・シートの歪みが、このようにさまざまな形をとって円安、株安の連鎖を生んでいるわけだ。 今後の展望を左右する4つのカギ景気対策は効くか第2のカギは、この春に打ち出された8兆円あまりの経済対策の効果がいつ、どの程度現れるかだ。
政府は公共事業の追加を中心に、この7月頃から景気を浮上させ、今年度の成長率を約2%押し上げる、と計算しているようだが、これは過大な期待である。 減税効果はこの夏に、公共事業追加の効果は秋以降出てこようが、その力は今日の下向きの景気を下支えする程度で、反転させるには至らないのではないかとみる。
建設資材や耐久消費財にはかなりの在庫が溜まっているから、その吸収には役立つが、ストレートに増産には結びつかない。 企業も個人もまだ償却、繰り上げ返済の要望が強いから、売上げや所得が入っても債務返済にまわり、機械の導入や人を雇い入れる効果は小さいだろう。
制的に排除されるような形で市場の再編が進むと、昨年秋のような金融不安が再燃し、株や円が一段と下げるリスクもある。 これからの1〜2カ月の内に何らかの答えが出るのではないか。
不良債権処理のゆくえはこのようにみれば、今後の為替や株の動きを展望する際のキー・ファクターが浮かんでくる。 第一の、そして最大のカギは、バランス・シート問題を集約した形となっている日本の不良債権処理、金融市場の整理統合がいつどういう形でなされるのかだ。
これまで何年にもわたって先送りされてきたこの問題にも漸くメスが入ろうとしている。 米国からの強い圧力があるとはいえ、早ければこの秋にも何らかの青写真が示されるとみられる。

問題の大きさからしてこれが一朝一夕に解決するとは思えないが、それでも問題解決への道筋が示され、将来に明るい展望が拓ければ、その段階でいち早く株や円が上昇に転じる可能性を秘めている。 しかしこれが凶と出た場合、つまり市場の力で強冒黍徒による略奪と放火―インドネシアの混乱はアジア経済の混迷に拍車をかけた(97年5月、AFPU時事)アジアは落ち着くか第3のカギはアジアの動向だ。
インドネシアはhb政権になって社会不安は落ち着いたようだが、経済の再生には相当の困難を伴うだろう。 為替が大幅なルピア安になって輸入インフレが高進し、対外債務が大きく水膨れして返済負担を大きくしているのに加え、経済の実権を握っている華僑に対して、新政権は厳しく抑え込もうとしている。
日本から見た場合、しばらくは輸出市場としても期待は持ちにくく、さらに邦銀の債権回収にも厳しい状況が続きそうだ。 韓国も同様で、これからまだ景気対策の成長押上げ効果は今年度でせいぜい1%、ベースの景気が1%以上のマイナス基調にあるから、秋に追加補正があっても今年度の成長率がプラスになるかどうか微妙なところ。

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